Excelでの試験所(ラボ)間技能試験
このチュートリアルは、XLSTATソフトウェアを用いてExcel内でラボ間技能試験 をセットアップして解釈することを支援します。
ラボ間技能試験とは何か?
技能試験(熟練度試験)、または**ラボ間比較(試験所間比較)**は、複数のラボで行われる測定を比較します。このプロセスは、ラボの性能を評価して監視することを目的としていて、 試験所の品質保証活動の重要な部分です。
XLSTATはラボ・データの高度に自動化された分析を可能にして、一連の一般的な統計量およびロバスト統計を産出することができます。結果を解釈して、習熟度基準がどの程度満たされているかを定義することは有用です。
このツールは、ISO-13528基準に準拠します。これは2015 年版を用いて最初に開発されました。ドキュメントの2015版でいくつかのエラーが発見されたので( 詳細はこちら を参照)、XLSTATはエラーありとなしで分析を実行することを可能にしています。
データセット
データは、抗体濃度について2つの類似した習熟度試験項目をテストすることによって得られた結果を提供します。データはサンプル1リットルあたりの千単位の数値であり、単位は国際標準物質の濃度で定義されています。
行がラボ(試験所)を表し、列は2つのアレルゲンに対する抗体の濃度です。
出典: Statistical methods for use in proficiency testing by interlaboratory comparison.
XLSTATでのラボ間技能試験のセットアップ
XLSTATを開いて、XLSTAT / ラボ・データ分析 / ラボ間技能試験機能を選択します。
ラボ間技能試験ダイアログ・ボックスが現れます。
一般タブでは、各項目(この事例ではラボ)で収集された測定結果を選択し、行がラボに対応し、列が測定値に対応するので、項目/試験 表形式を選びます。
オプションタブでは、位置(location)統計として平均と中央値のどちらを使用したいかを選びます。Qn 統計 (詳細はこちらの記事 を参照)の計算でXLSTATにエラーを除かせたい場合は、ISO-13528-2015 エラーオプションを無効にしてください。
アルゴリズム Sを用いてロバスト推定する尺度(scale)統計(範囲または標準偏差)を選択します。アルゴリズム Aについては、尺度統計として、範囲、Grubbsアプローチを用いた標準偏差、nIQR、Qn、 Qを使用するオプションがあります。
アルゴリズムの選択は、通常、技能試験実施者によって行われ、参加者の数や測定での外れ値の量など、さまざまな要因に基づきます。
中央絶対偏差(MAD) がゼロの場合、それを平均との差の絶対値の中央値に置き換えることができます。また、アルゴリズムの繰り返しごとにロバスト推定値 s* (scale)を更新することも可能です。
XLSTATでのラボ間技能試験の結果
この事例では、 複数のラボと2つの試験(測定)があるので、XLSTATは、それらのそれぞれについて、中央値、尺度化中央絶対偏差(MAD)、正規化IQR(nIQR)などのロバスト統計を含む要約統計のリストを表示します。後者は単純な推定量です。
標準偏差を推定するためのQnおよびQ法は、結果の大きな部分(> 20%)が矛盾している可能性がある状況(高い内訳の推定量)、またはデータを専門家が確実にレビューできない状況で特に役立ちます。
そして、同じ統計量がすべての項目で計算されます。
次の出力は、ISO-13528 (アルゴリズム A, アルゴリズム S, Q/Hampel)に記述されている高度なアルゴリズムからの推定値を提供し、それらのいくつかは、外れ値に対して非常に耐性があります。アルゴリズム A と Q/Hampel 法は、位置と標準偏差のロバストな推定量を得るために使用されます。アルゴリズム S は、標準偏差または範囲からの尺度推定量を推定するために使用されます。
アルゴリズム A は、正規分布に近いデータの代替の平均および標準偏差の推定量であり、外れ値の予想される割合が20%未満の場合に最も役立ちます。各手法の利点に関するより詳細は、ISO-13528 基準 ドキュメントで説明されています。
最後に、さまざまなラボの位置と尺度を比較するために等分散性プロットが表示されます。垂直軸での散らばりが大きいほど、個体間の一定分散の過程が無効になります。5、23、8のように潜在的な外れ値である値を示すラボを同定するために信頼線 (90%, 95%, 99%) が表示されます。
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